こんばんは

スーパーマン・リターンズのことを今更書いてしまったので、ここは同じ流れで、ほんの何千年か何万年前の話、今日は太陽神アポロンについて語りたいと思います

なぜなら、ここ数年、暇さえあれば太陽神アポロンのことを考えてしまうほどファンだからです

読み返してみたらめちゃめちゃ長くなってしまっています。
お暇な時にでもどうぞごゆっくり…。
アポロンは、牧畜、そして、音楽と医学の神なのです。柚楽も音楽をやってるのもあって、なんだご利益ありそうよ!と思いました。
しかし、そのことを知ったのはずいぶんあとです。
なにより最初に好きになったのは性格でした。
彼のお金に惹かれたんじゃないのよ、たまたま好きになったのが性格だったの。そしたらお金持ちだったのよ。というわけにしておいてくだされ…。

アポロンは名前の響きからして、明るくて楽しい性質の神様ですが、相当おばかさんぽいところがあります。
そして、

輝ける者という賛美を受ける存在としては不似合いなほどの悲しい悲しい思いを幾たびかしています。
その明るい感傷とでもいうのか、アポロンの伝承を知れば知るほどになんとも魅惑的に感じてきてしまい…。
子供の頃にはアポロンの双子の妹、月の女神で孤独を愛するアルテミス派だったのでアポロンにはまったく興味なかったんですが、気がついたら兄上の方を好きになってました

あまりギリシャ神話を知らない方でも、月桂冠、のお話はご存知なんじゃないでしょうか。
ある日、アポロンが、見た目はキッズだけどアポロンより全然古い神であるエロスに向かって、子供が弓矢なんかで遊んでたら危ないよ!とからかっいます。それにむかっ腹を立てたエロスに矢を放たれ、見初めた乙女ダフネを追い掛け回した挙句、アポロンを拒んだ乙女が月桂樹に姿を変えてしまい、永遠に彼女と結ばれることはなくなってしまった…というあのお話です。
神々の中でもっとも美しく誰からも愛されているアポロン

女子にはモテモテの経験しかない自分を拒む女がいるとは想像だにできない

(ダフネがそこまで頑強に拒んだのは、エロスの魔法の矢の、相手を嫌いになるといういたずらな効果によるものなのですが)
その自信満々の満々なところが、なんとも哀れと言うかおろかと言うか…。
結局アポロンを恐れ追い詰められたダフネは父の河の神に頼んで月桂樹となってしまいます。
アポロンは最後、号泣しながら月桂樹の枝を手折って冠をつくり頭に被ります。
「君の事を永遠に忘れないよ」
見たものを気が狂うほど愛してしまうエロスの矢を放たれていたとはいえ、アポロンの、生まれたばかりの赤ちゃんのような無邪気な信頼。
…自分は、正しく、強く、明らかな存在で魅力的である。その自分が愛したならば、どんなものでも必ず応えてくれるはずだ

そのいかにも太陽神的で理知的な考えを、宇宙創生に携わってきた古い神エロスがいたずらを使って諭したようにも思えます。
お前の知っている正しさがすべてではない。ことに愛と言うのは、そんな単純なものではない…。すべては不確定のものなのだってな具合に。
アポロン、月桂樹のお話を始め、本命の大恋愛では悲しい思いが多いようです

恋敵に絶命させられたヒュアキントスとの恋もたいへん悲しいものでした。
医学の神である彼の技を持ってしても、重傷を負った恋人を助けることはできなかったのです。
ダフネとの恋で月桂樹を頭に被るようになったほど傷を引きずっているアポロンですから、きっと深い挫折と絶望を抱いたに違いありません

瀕死のヒュアキントスを抱きしめる美しい絵画などが残されています…。
それなのに、あっちこっちで恋愛しまくりの生活を双子の妹で月の女神アルテミスに非難された時のやりとりはこうです。
「あなたは節度や中道を説いて回っていらっしゃるのに、ご自分は恋愛においてそれを守っていらっしゃらないではありませんか」
「そうだね♪僕は貞節についても節度を守るようにしているんだ♪」
そ、そうなんだ!それはいいね!
問答無用のハッピーオーラ

さすがあの、愛を垂れ流しにすることで世界を豊かにした(?)ゼウスの一番愛する息子さんです。
暗闇も悲しみも夜明けを迎えて太陽が光り輝くように消え去る。アポロンは絶望には屈しない。みずみずしさを失わないのでした。
ただ、どこか悲哀が漂うような気がするのです。彼が明るければ明るいほど、悲しみもまた深いような…。
だからこそ彼は居並ぶ神々の中、竪琴の一番の名手と言われたのかもしれないなって思います。
音楽は喜びと悲しみの二つが揃ってこそ名演となるような気がするのです。
公明正大な太陽の神の性質だけならば、音楽とは程遠いイメージだけど、そういった悲恋のエピソードを持つことで、実際に現実の耳にすることはできないアポロンの音楽が、不思議に彩りを持って魂に感じられるような…。
神話は人の心とつながっているそうです。
皆の心の中にも、どんな悲しみが訪れようとも自分や他者への愛を忘れず、人生の喜びを再び見出し、毎日の務めを果たしにゆく、竪琴で美しい音楽を奏でているアポロンがいるのかなって思います。
アポロンがいてくれてよかったなぁーって思います。
アポロンは太陽の神様の性質を持ってるので太陽の戦車を管理しています。毎日つつがなく太陽の戦車が東から西に駆けるのはアポロンの仕事です。
でもその馬車を実際に操っているのはアポロンではないお話もあったり、アポロン自身が戦車に乗って空を駆けていたり。お話によってさまざまみたいです。
色々な人がこの神にこんな役割も与えたいという希望を重ねてしまっていったのかなあ。
白鳥はアポロンの使いとされているそうです。わたしはヤマトタケルファンでもあるので、それを知ってわたし内アポロンの株はさらにあがりました(ヤマトタケルは白鳥になって飛び去ったのです)
アポロンは詩作や芸術文化活動一切の守護者、ミューズたちの主宰者です。
アポロンの竪琴にあわせて、ミューズ達は歌ったそうです

その音楽、それはそれは素晴らしいものなのでしょう。
アーティスト達が、外界の騒がしさに心乱されることなく、自らの魂の泉の淵にたたずむ時、聴くことができるかもしれない。
そんな音楽でしょうか…。
目を閉じて耳を澄ましたら聴こえて来るかもしれない…。
人生を楽しみ

クリエイティブであることへの喜びの音楽が。
そんなわけで、アポロン的なものをとても愛している柚楽でした